最近の読了本

日記のほうをサボってると、いつどんな本を読んだのかすぐ忘れてしまうから困る。基本的に私は読み終わった本はどんどん処分していくタイプ(昔から引越しばかりしていたから)なのだけど、やっぱりあやふやな記憶以外になにか残しておくものがないと寂しい。というわけで最近の読了本。

  1. Jefferey Zygmont, "Microchip" (ISBN:0738205613)
  2. Carl Zimmer, "Parasite Rex" (ISBN:074320011X)
  3. David Lodge, "How Far Can You Go?" (ISBN:0140057463)
  4. David Lodge, "Thinks..." (ISBN:014100021X)
  5. Connie Willis, "To Say Nothing of the Dog" (ISBN:0553575384)
  6. Eric Garcia, "Anonymous Rex" (ISBN:0425188884)
  7. スティーヴン・バクスター,『フラックス』 (ISBN:4150111294)
  8. 三島由紀夫,『文章読本』 (ISBN:4122024889)

1はジャック・キルビーやボブ・ノイスから始まる集積回路の歴史を追ったもの。2はカール・ジンマー『パラサイト・レックス』(ISBN:4334961053)の原著。彼のブログ(http://www.corante.com/loom/)を読みはじめて気になったので。普通に楽しめた。最新刊の "Soul Made Flesh" (ISBN:0743230388)も積読中。
3と4はともにデイヴィッド・ロッジの小説で、それぞれ『どこまで行けるか』(ISBN:4560044465)と『考える…』(ISBN:4560047243)の原著。『どこまで行けるか』は彼の初期作品といっていいと思うのだけど、彼のカトリックに対するアンビバレントな態度はこの頃もうちょっと露骨だったのだねと分かった。『考える…』は逆に彼の最新刊。『恋愛療法』(過去の日記参照)の頃にかろうじて残ってあったコミカルな部分はすっかりなくなってしまった感じ。主人公はなんと認知科学者で、プロトコル分析のためにテープに吹き込んだ自分の独り言という形でときどき話が進む。学部生の頃、心理学実験でやったプロトコル分析を思い出したぞ。あれはテープ起こしに泣きそうになった。ところでロッジはこの本を書くときに参考にした一般科学書を巻末に挙げているのだけど、きちんと読みどころを押さえていて感心してしまった。しかし鈴木クニエさんのところによれば(http://homepage2.nifty.com/suzuki-kunie/diary0109.html#19)、訳者は邦訳が出版されている本のタイトルまで勝手に訳してしまっているらしい。駄目じゃん。
5はコニー・ウィリス犬は勘定に入れません』(ISBN:4152085533)の原著。どうしてそんな邦訳タイトルになるのか不思議だったけど(原著タイトルは「犬は言うまでもなく」の意味)、これはジェローム・K・ジェロームというひとの有名なユーモア小説『ボートの三人男』(ISBN:4122003512)の副題から取っているためらしい。へー、知りませんでした。そっちも読んでみたいね。ウィリスは『ドゥームズデイ・ブック』(ISBN:4150114374)でも私は絶賛だったけど(過去の日記参照)、今回も最高。セイヤーズのファンとしてはニヤニヤさせられるところばかり。しかし最後まで読んでも "Bird Stump" なるものが一体なんなのか分からなかったのは秘密だ。花瓶なの? 装飾の施された盾のようなものだとばかり思っていたよ。
6はエリック・ガルシアの恐竜ハードボイルド『さらば、愛しき鉤爪』(ISBN:4789717690)の原著。いわゆるバカミステリだけど、うーん、その設定以外はあまり面白くはなかったかな。確かにハリウッド映画向けかな(特に後半以降)とか思ったよ。
7と8は和書。バクスターの『フラックス』は原著で読んでいたらちょっとついていけなかったかも。翻訳を読んでもその中性子星の世界を想像するのが難しい。三島由紀夫の『文章読本』は読み手からみた「文章読本」。三島って昔から苦手でほとんど読んでいないけど、どうして苦手なのかちょっと分ったような気が。いや、目から鱗の部分もあったのだけど。