id:njinさんのところの話題(http://d.hatena.ne.jp/njin/20040103)。ちょうどドゥ・ヴァールの『サルとすし職人』(ISBN:4562035889)を読んでいて関連した内容があったので。
ドゥ・ヴァールによればボノボの社会には日常的に同性愛的行為(性器の擦りつけあい)があり、またそれが社会関係上の衝突を避けるために行われたり、異性間でも交尾が餌との取引きとして使われることがよくあるらしい。雌が雄よりも優位で性行為が社会の円滑剤として使われるボノボの「平和」な社会と、雄がなにかと攻撃的なチンパンジーと対比させることで、進化心理学的な暴力性の起源といった論説に疑問を投げかけているのが面白かった。
またドゥ・ヴァールは文化(culture)と生まれもった性質(nature)とは不可分であると説いていて、モラルといったものが純粋に文化の産物ではなく動物にも協力的な行動の衝動があるという性善説なひとなので、njinさんも面白がると思われ。
あとアメリカで同性愛の罰則がないというのはちょっと言い過ぎでないかな。同性愛行為(いわゆるソドミー、もっとはっきりと言えば同性間のアナルセックスやオーラルセックス)については、まだアメリカの多くの州で違法なはず。確かに連邦レベルでは米連邦最高裁が同性間の性行為を規制するのは違憲であるという判決を最近出しているけれど、州法の書換えにまでは踏み込んでいないんじゃないかな。(とかくアメリカの法について言うときには連邦レベルと州レベルとを分けて考える必要があるから面倒臭い)
カナダ、特にゲイに対してオープンなモントリオールに住んでいる者からみるとまだまだアメリカはその辺、不自由でないかな。同性結婚にしてもカナダは合法化に向かっているけれど(http://d.hatena.ne.jp/kay-j/20030618#p1)、ブッシュ政権は断固として反対しているし。